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コラム

お口さまざま

100人の患者さんには、100の口腔内の状態・症状があり、さらに口腔内の1本1本の歯(28本あれば28の状態)にもそれぞれの状態・症状があります。
歯を丁寧に磨いていても、1週間で歯石がついてしまう方もいらっしゃいますし、1日1回以下のブラッシングで、10年以上チェックをしていなくても、歯石がほとんどついていない方もいらっしゃいます。
歯石によってもたらされる歯周病の進行の予防には、ブラッシングが最も大切ですが、歯・歯槽骨の性質・硬さや、唾液の成分・・・特にこれが大きいのですが(唾液中のカルシウムやリン、抗菌物質その他の比率)、ネバネバ、サラサラなどの性状、量、他それぞれが、相関的に前述した遺伝的要素と相まって口腔内の状態をつくりだしていることも事実です。また、精神状態(緊張時の唾液の量・質、リラックス時の唾液の量・質等)や喫煙や睡眠、嗜好品(嗜好品に関しても遺伝的要素がありますが)等の生活習慣も二次的に大きく関与しています。
歯槽骨に関しても、遺伝的要素を含め、各個人々、部位によって、硬い骨、軟らかい骨等が存在します。(病巣に膿がたまったとして、骨を多穴体であるブロック・スポンジに、膿を水に例えると、レンガやブロックに水を流すとしみ込むのに時間がかかりますが、スポンジでは比較的早くしみ込みます。これは、骨が硬い方や部位に、膿がたまることがあると、膿の行き場がなく非常に強い痛みが起こりやすく、また骨の構造が比較的軟らかい方や部位であれば膿が拡散されやすく硬い骨に比べると痛みのレベルが低くなりやすくなります。(白血球が菌と戦った死骸が膿のことで、厳密に言うと膿がたまりだす直前に一番痛みが起こりやすくなります。いずれにしても腫れてしまえば痛みも和らいでいきます。・・・勿論、痛みは、各個人々の痛みの閾値レベルや感じ方・とらえかたによって大きく異なってきますが・・・。))
ブラッシングが予防歯科において最も大切であることは確かなのですが、このようにさまざまな条件・因子によって各個人々の口腔内の状態が存在するため、予防をするにあたっても、ご自分の口腔内の状態、全身的・遺伝的な因子まで考慮に含め、効率的なケアを行う必要があります。
文・写真 酒井 公洋
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