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コラム

歯科健診について

幼稚園から高校まで、最近の健診内容の感想としては、むし歯はここ10年位の間で減少傾向にあります。ただし歯肉の炎症の場合はその逆で、発赤や腫脹が幼稚園児からしばしば認められます。歯肉に関して、最近の学校健診においては、新しい診断基準として「GO」(歯肉炎の疑い:適切なブラッシングによって症状が改善される状態)というものができ、歯肉炎や歯周炎への移行を予防する上でも、「GO」と判定された方の事後指導が重要になってきています。また、虫歯に関して学校歯科保健では、検診の基準化・統一化をはかる上で、明らかに穴が開いている状態の歯のみをむし歯「C」と規定していて、色や形では虫歯の判定とはならないので(CO:むし歯の疑い(むし歯ではない))、お口の中は、常にチェックしていることが大切になります。

ごく初期のむし歯「CO」の場合(当然、健診ではむし歯にはなりません)、再石灰化といって歯の表面の酸によって溶かされた部分が、唾液中のカルシウムの作用によってもう一度石灰化(硬くなる・元の状態に戻る)してむし歯の進行が止まる事が多く、この場合、歯を削るという行為がないので、2次的にむし歯が広がる危険性もなくなってきます。このような事から最近では初期のむし歯に関しては、経過を観察するという先生が多くなってきています。ただし、むし歯は感染症であるため、お口の中の環境を整える(菌を減らす)という意味で、初期のむし歯であってもきちんと治療を行ったほうが良いという意見もあり、個人個人のお口の環境、衛生状態等に合わせた選択が必要になります。 酒井 公洋

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