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コラム

CRM

先日の高知空港胴体着陸で・・・。
航空機の着陸時、車輪が下りたというサインは、車輪が下り(下ろし)、安全にロックされるとコックピット内のパネルに緑のランプが点くそうです。このとき、今回のようにもし緑のランプがつかなかったとしたらどうでしょうか?ほんとうに車輪が下りていないのか?それとも、緑のサインのランプが切れているのか?回路の故障なのか?等々さまざまな原因が問題となってきます。今回のようなアクシデントの時に緊張感の中で、瞬時にさまざまな冷静な判断を要求される状況では、機長一人の判断では大変な負担になってしまいます。コックピット内では、従来からCRM(クルー(コックピット)・リソース・マネジメント)によって、上司=機長、部下=副操縦士の上下関係ではなく、機長・副操縦士の平行的な横並びの関係によって客観的な判断を取り入れつつ適切な判断を導き出してゆくという方法が取り入れられています。機長の負担を減らす事のみならず、上司の高圧的対応を無くすことにより、部下の潜在的能力を引き出す上でも重要なものであります。今回の適切な判断、対応もこのCRMが生かされていたのではないでしょうか。
大学病院等の医療機関においても数年前から、このCRMを取り入れ、上司・部下の垣根を撤廃し、さまざまな意見を広く取り入れ治療方針を導いて行くという方法が、学問のひとつとして取り入れられるようになってきました。
(何かの本で読んだことがありますが、欧州の航空機製造会社には、「デジタル(コンピュータ)は壊れないもの」、米国の航空機製造会社には、「デジタル(コンピュータ)は壊れるもの」、という発想が根本にあるそうです。つまり、デジタルは壊れないものとして、万が一のためにバックアップによる制御に力を入れるか、デジタルは壊れるものとし、通常の操作段階においても、ある程度人間が介入しながら、万が一の時には、スムーズに人間による操作に移行できるようにするか、の違いになります。
安全を最優先する航空機にも、欧米間での発想の違いがあります。日本は、どちらなのでしょうか?)
文・写真 酒井 公洋
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